*PART4.誕生*
「お待たせしちゃってごめんなさいね」
やっと助産師さんが戻ってきてくれた。





陣痛促進剤を使うとすぐに間隔の短い陣痛が来て、出産になるとのこと。
願ったり叶ったりです。点滴で入れられて間もなく…効いてきた…
今まで経験したことがないほどの痛みに襲われる。痛みの間隔はずっと短い。
体が引き裂かれるような…何度も何度もトラックに轢かれるような衝撃。

もっと痛くなれ、もっともっと。
痛みが強いほど、間隔が短いほど早く赤ちゃんに逢えるのだから!

横向きになったり、仰向けになったりと体勢を変えても、
どうにも抗うことが出来ない強い力に支配される。

助産師さんがわたしの足元で何かをしている…と思ったら、
次の瞬間、生温かい間隔がお尻の下辺りに広がった。
破水だった。温かくて心地よかった。
(お産を進めるために人工的に破水をさせた…のだと思う)

「じゃ、いきましょう」

助産師さんの冷静な声に我に返る。

助産師さんの指示に従い、分娩体勢に入る。
分娩台の両側に付いているレバーをしっかり握り締め、
息を吸ってー、吐いてー、はい止めて、いきんでー!

これを何度か繰り返した。必死に取り組んだ。
赤ちゃんは下りてきているらしいけれど、産まれない。
わたしの力が足りないのか。

「吸引…」

疲労と痛みに朦朧としながらも、この言葉は耳に届いた。
吸引…もう嫌だ。これ以上の時間の経過には耐えられない。

そう思っているとまた強い強い陣痛の波が来た。
残っている力、ありったけの力を全て注ぎ込み、
自力でいきむ。吸ってー、吐いてー、止めて!うぅーーーーーんっ!

ここで夫は外に出され、入れ違いで医師(男性)がやってきた。

「はい、上手ですねー。赤ちゃんの頭が見えてます。次で赤ちゃん産まれますよー」

やっと、やっと聞きたかった言葉を聞くことが出来た。

仰向けの状態のわたしの胸の上にシートを掛ける。
「ここに赤ちゃんを乗せますからね」

やっと、この胸に赤ちゃんを抱くことが出来る。

吸ってー、吐いてー、止めて!うぅーーーーーーーんっ!!
残っている力の全てを出し切るようにいきんだ。

医師が手助けをした気配があった。切開だ。
パチンという感覚があったけれど、そのこと自体の痛みは感じなかった。

物凄い力で下半身が引っ張られる。
レバーにしっかりと掴まっていないと下半身が飛んでいってしまう!

うぅーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!

(ここで酸素マスクを当てられる)

次の瞬間、下半身にずるりとした感覚が広がった。
「い、痛い!」
痛いという言葉は絶対に口にするまいと思っていたのに、
ついに口をついて出てしまった。

「おめでとうございます!」
医師と助産師さん(2名)の明るい声が聞こえた。
「男の子です!」

午前1時7分

あぁ、生まれた…
この胸に早く…

下の方で何かをしている。
首を上げてその方を覗くと、助産師さんが赤ちゃんの口にチューブを入れ、
必死の形相で口の中に詰まっているものを出している。
この作業が終わればこの胸の上に…

髪の毛が見えた。真黒な毛がかなりしっかり生えていた。
わたしが生まれた時もそうだったと母がよく話していたっけ。
そんなことをぼんやりと考えている時、ふと何やら不安を感じた。
助産師さんの顔つきが深刻だからか。
それもあるけれど、そういえば産声を聞いていない…

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by sybilization | 2007-09-26 13:00 | report(delivery)
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